dc82ff5a.jpg中国のネット人口は今年六月末現在で一億人を超えた。
三年後の2008年には米国を抜いて、一億三千万人程度に膨れ上がるとの民間調査機関の予測が出ている。

クリントン前大統領は「中国の今後の経済発展のカギを握るのはネットの普及だ。中国が効率的にエネルギーを利用したり、環境を破壊することなしに経済効率を高めるためにもネットの発展は欠かせない」との認識を示している。

この言葉に誘発されるように8月11日、中国の企業間電子商取引サイト「アリババ・ドット・コム」にアメリカヤフーが十億ドル(約一千百億円)の投資を行いアリババの株式の40%を取得した。

一方、これに合わせて、日本のソフトバンクも、アリババと米ヤフーの二社と中国のネット関連事業で包括提携することで基本合意するなど、アリババの世界戦略が加速している。

実は日本ソフトバンクの孫正義会長は2年ほど前に「汰宝(タオパオ)」というショッピングモールの会社に1800万ドルを投資し汰宝の株式50%以上を取得した事実がある。
この会社こそがアリババの子会社で汰宝が保有するアリババ株30%もソフトバンクは確保したことになる。

さて、そのアリババ・ドット・コムの馬雲(ジャック・マー)最高経営責任者(CEO)は、同社の総資産額が四十二億五千万ドル(約四千六百七十五億円)に達することを明らかにした。

なぜ資本力の増強と公開を進めたかには訳がある。
7月にイーベイのネット決済子会社ペイパルが中国への進出を発表したからだ。
イーベイといえば欧米の実績を背景に意気込んで日本へ攻めてきたが、当時日本市場で先行していたヤフーが、日本のユーザーに合わせたサービス(手数料無料、身元確認不要など)を武器に撃退した経緯がある。今のアリババも当時のヤフーを見習おうとしてソフトバンク(株主)に教えを請う形になっている

どう見ても、アリババ有利に見える中国のIT事情だが、ペイパルと言えば世界中の56カ国・地域で事業を展開し、7200万にも上るユーザーを抱えているのだ。
2004年のペイパルを通じた決済の総額は180億ドルを超えている。これは2004年の中国におけるネット決済金額の200倍くらいの規模だ。利便性、安全性などについては世界のトップレベルにあり、世界規模で考えればどれをとっても短期間にアリババに追い越される可能性は皆無だろう。

中国のCtoCのオークションサイト、イーベイの『易趣網(イーチネット)』とアリババの『淘宝网(タオバオ)』は5年後以降のIT業界を占う重要な代理戦争とも言えそうである