c7efa868.jpg昨日、日本の流通業界の巨匠がお亡くなりになった。
ダイエーの中内 功(漢字は力でなく刀)は幾多の困難をオリジナルの発想・行動により、売上高5兆円の一大流通帝国を築き上げた。

そんな彼を題材とした本に「カリスマ」がある。
実はこの書籍は岩城と縁の深い書籍で、今でも題名の「カリスマ」を聞くたび懐かしくなる。

実は日経BP社の初めての単行本が「カリスマ」と「電子商店繁盛記」なのだ。

架空の酒造会社をモデルにしたこの本は、日経マルチメディアに連載担当していた「まぐまぐ」の大川さんからの依頼で私は第9章のまとめを担当した。
月刊誌、それも定期購読が中心の日経BPにしては、まさに新規事業分野への挑戦であった。
担当者も若手の編集者が熱心に取り組むのだが、やはり経験のないネット知識は難しく編集に苦労した事が懐かしく思い出される。

中内功が生み出したダイエーは戦後の焼け跡から立ち上がった大正生まれの日本人が築き上げた売上高5兆円の一大流通帝国だ。
そこには中内の魂と言える人間臭さが商いの中に感じ取れるものでなければならなかった。
新店舗開店日の朝、中内オーナーが店頭を訪れる。そして、店頭で大きく息を吸い込む。その時に、焼き立てのパンの匂いがしなれなければ店長は怒鳴りつけられる。店長は数日前から不眠・不休の状況で、ありとあらゆる点に注意をしながら開業準備を行う。極限の中に商売人の真髄を感じ取れることもあった。だからこそ、ダイエーの幹部店員はジャスコやニチイの店舗とは違う若手店員の力強さを感じ取れたものだ。

イトーヨーカドーの伊藤雅俊氏はダイエーと正反対に「土地をもたない経営」で有名である。
また、「会社が大きくなる怖さ」を諭し、働く人が増えてお客さまに対する姿勢がすべての社員に行き渡らなくなる点や、本部の力が強くなり現場との間に壁が出来る、いわゆる官僚化の危険性を熟知していた。そして、大企業になればなるほど、景気や世評の影響を受けやすくなり、経営者はその恐怖心を常に持つ事を座右の銘として現在の流通業の先頭にある。

しかし、その考え方の手本には、いつも中内の姿があったからなのだろう。

中内先生。ありがとうございました。
   安らかにお休みください。合唱。