一番大事なものは、目には見えない・・・・・
その言葉を探しに僕は砂漠に来た。

僕はずっと、砂漠が好きだった。
なだらかな砂の丘にすわれば、あたり一面、なにも見えない。なにも聞こえない。
それでもその静寂のなかで、なにかがひっそりと光っている・・・・・

  「砂漠が美しいのは」王子さまが言った。
  「どこかに井戸を、ひとつかくしているからだね・・・・」

サン・テグジュペリの書いた「星の王子さま」の、この一節が好きだ。

地球に疲れ果て、王子さまが眠ってしまう場面では、胸がいっぱいになる。

 そんな王子さまを抱きかかえ
 自分が、壊れやすい宝物を抱いている気がした。
 地球の上に、これ以上壊れやすい宝物はないような気さえした。
 月の光のなかで、僕はその白い額を、閉じた目を、風に震える髪の房を、見つめた。
 そして思った。

  「こうして今見ているものも、表面の部分でしかないんだ。いちばん大事なものは、目には見えない・・・・」



2016年 1月 5日 エジプトにて


20160104
朝の日に
もえる暗闇
青になり
【まどか】