今この歳になって環境の重要性がわかる。

孟母三遷(もうぼさんせん)のことわざは小さい時から聞かされていた。

孟子が幼い頃、彼の家は墓地のすぐ近くにあった。
そのためいつも、葬式ごっこをして遊んでいた。

孟子の母は、「ここはあの子が住むにはふさわしくないところ」と考え引越しをした。
移り住んだのは市場の近く。
孟子は商人のまねをして商売ごっこをして遊んだ。
孟子の母は言った。「ここもあの子が住むにはよくない」

再び引っ越して、今度は学校の近くに住んだ。
孟子は、学生がやっている祭礼の儀式や、礼儀作法の真似事をして遊ぶようになった。

「ここなら我が子にふさわしい」
孟子の母はここに腰を落着けることにした。
やがて孟子は成長すると、六経を学び、後に儒家を代表する人物となった。

子供の頃ならいざ知らず、大人になった今は環境を与えられるのではなく、
自らが環境を作り出さなければならない。

安岡正篤先生は、
「人は環境を作るからして、そこに人間の人間たる所以がある。
 だから人物が偉大であればあるほど、立派な環境を作る」と説く。

ひとは、天より授けられたこの肉体という舞台の上に、己の明徳を展開していく。
そして、肉体と地続きの外の世界まで感化していくという。

最終的には、少しでも良い環境を与えられる人物にならなくてはいけない。



0402
見上げれば
空に浮かぶ
桜色
【まどか】