夜明け前に起き出して、無性にシャンパンを飲みたいときがある。
静寂の中でシャンパンのコルクをそっと抜き出すときの空気の漏れた音。

そう言えば、誰だったか?酒飲みの小説家が面白いことを言っていた。
「朝起きたら、ウイスキーを飲みます。
ごく薄い水割り一杯です。
次に熱くして渋い焙じ茶を飲んで、口の中を引き締めます。
それから仕事です。」

男って、何で酒の力を借りなければ文章がかけないんだろう。
知性を刺激する何かが、酒の精に宿っているとしか思えない。

話は飛ぶが、何時の間にか開高健(kaiko Takesi)が生きた期間に並びつつある。
開高健は大阪天王寺に生まれ58歳で没した”おとこ”だった。
そんな骨っぽい開高健に憧れて、ウイスキーをがぶ飲みした時もあった。

「人間」らしく / やりたいなぁ
トリスを飲んで / 「人間」らしく / やりたいなぁ
「人間」なんだからな

ほんものの人間であるために、今日も朝から酒を呑む。
馬鹿だなぁと思う。

開高の「酒に訊け!(ウイスキーにきけ!)」では、
酒には酒精が宿ており、その酒精がペン先を動かし、物語を紡ぐのだと。

「しかし、マ、酒は難しいことをいわんと、ともかく飲んでみるこっちゃ。
 ウイスキーは、感性よりも理性を刺激する。
 歳をとったら醸造酒ーワインや日本酒のまったり眠くなるような酔いもいいけれども、
 若い時代は荒々しい酔いがいい。
 若者は、眠り込んだらあかん。
 飲んで、酔って、天才になって、日常を超えた思考を愉しんで、男を磨いてもらいたいもんや。」

と、オヤジは朝からシャンパンなのだ。
何時の間にか軟弱になっちち、なのだ。