小津安二郎は日本を代表する、脚本家であり映画監督である。

小津映画の特徴である「小津調」は、ローポジションからのカメラワーク、
おっとりした独特の台詞回し、同じ間合い、同じ俳優・女優のキャスティング。
ある意味偏った、狭い領域の中だけで独特の映像美を作り出していた。

この小津調は映画タイトルにも及ぶ。
晩春 1949年
麦秋 1951年
早春 1956年
秋日和1960年
ファンでなければ混乱しそうな徹底ぶりが、ある意味素晴らしい。

ご本人は、ハリウッド映画が大好きで、戦時中に赴任したシンガポールでは大量のアメリカ映画を見ていた。
『嵐が丘』、『北西への道』、『レベッカ』、『わが谷は緑なりき』、『ファンタジア』、『風と共に去りぬ』、『市民ケーン』・・・・・・・
だが、いざ自分の映画を作ると、およそ似たテーマやストーリーをくり返し撮り続けた。
「ボクは豆腐屋だから、豆腐しか作らない。豆腐屋にカレーだのとんかつ作れったって、うまいものができる筈がない」と。

彼ほどの知性と技術があれば、ほかのレベルでもかなりの作品を生み出せたはずだ。
だがあえて、意識的に自分の技術を限定化していった。
その結果、小津調といわれるカメラアングルもシナリオも、そのスタイルにおいて小津を超えることは不可能になっていった。
自分の仕事を小さく限定することによって、世界の小津に昇華することが出来たわけである。

「才能のある人間は、他人のやっていることを見ると、自分にも出来ると思い込むものであるのだが、実はそうではない」
自分の領域を広げることよりも、自分の得意なこと、専門的な領域を限定することによってパワーを生み出せるものだ。

自分のモノにする技術はどこまでも高め、それを表現したり活用する場は集約させていくこと。
これが小津先生から学んだ、ひとつの生き方の真理である。

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