「伊勢の海の 海人の島津が鰒玉(あはびたま) 取りて後もか  恋のしげけむ」  
万葉集 第七巻1322

岩城の名刺には上に書いた万葉集の言葉が少し形を変えて書かれている。
志摩の鮑(アワビ)は、古くは奈良の平城宮跡から出土した納税記録の木簡にも書き示され、
志摩からは鮑や海藻類が税として納入されました。

鮑は美味で稀少でしたからもっぱら貴族だけが食し、またその貝殻の美しさと、その体内から出来る真珠の神秘さが貴族たちの憧憬の対象となり、数々の歌が詠まれています。

東大寺三月堂の本尊、国宝の不空羂索(ふくうけんさく)観音は華麗な宝冠をつけていることで有名な仏さまですが、この宝冠に鰒玉があしらわれています。直径15mmの茄子型真珠。
天平時代の仏さまですから鰒玉は1200年以上の歴史を刻んでいることになります。
ちなみに宝冠には真珠のほか水晶、琥珀(こはく)、瑪瑙(めのう)、ヒスイなど、驚くなかれ26,000〜27,000もの宝石がちりばめられています。

今日、7月19日は郷里で790年余の伝統を誇る奇祭。【潮かけ祭り】
海の女神・市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)が大島の祠に里帰りするのを祝い、
海女や漁師がアワビ等のその日の獲物をお供えし、
海の安全と大漁を祈願する神事の後、船どうし人どうし海水をかけ合ったり、
海に投げ入れたりする天下ご免の祭です。

昔から慣れ親しんだお祭りに、帰りたかったが、帰れない・・・・
今からリッツカールトンにて経営学のセミナーです。
この身は磯の鮑の片思いのように、身悶えております。



【参照】
不空羂索観音像と宝冠は東大寺総合文化センターに期間限定で展示中。
http://culturecenter.todaiji.or.jp/

原文: 伊勢海之 白水郎之嶋津我 鰒玉 取而後毛可 戀之将繁



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